2026.9.14
【売却編】越境物がある不動産は売れる?塀・庇・配管の対処法と売却時の注意点

自宅や相続した実家を売却しようとして測量したところ、「隣の家の庇がこちらへ出ている」「ブロック塀が境界線をまたいでいる」「雨どいや配管が隣地側へ越境している」と分かることがあります。
越境が見つかると、「このままでは売れないのでは」と心配になるかもしれません。
結論からいうと、越境物があるという理由だけで、不動産を売却できなくなるわけではありません。
重要なのは、越境の有無だけではなく、「何が・どちらからどちらへ・どの程度越境しているのか」を確認し、必要に応じて隣地所有者と対応方針を整理したうえで、その内容を買主へ正確に伝えることです。
越境そのものよりも、境界や権利関係が曖昧なままになっていることの方が、買主の判断や売買条件に大きく影響する場合があります。
この記事では、塀・庇・雨どい・配管などの越境がある不動産を売却するときに、どの順番で確認し、どう整理すればよいのかを不動産実務の視点から解説します。
越境物があっても不動産の売却自体は可能
まず押さえておきたいのは、「越境がある=売却できない」ということではないという点です。
実際の不動産取引では、古いブロック塀、屋根や庇、雨どい、給排水管、擁壁、樹木などについて、境界線との位置関係を調べた結果、越境や被越境が判明することがあります。
特に、長年建物が建っている住宅地では、建築当時には境界が現在ほど明確に管理されていなかったケースや、建物の増改築・外構工事などを繰り返す間に、現況と境界線との関係が分かりにくくなっている場合があります。
京都市伏見区でも、桃山・深草・醍醐・淀などの昔から住宅が建ち並ぶ地域では、土地の形状や道路条件、古い塀などについて確認が必要になる物件があります。ただし、地域だけで越境の有無を判断することはできず、あくまで個々の土地について現地と資料を照合することが重要です。
売却時には、主に次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 自分の建物・塀・配管などが隣地へ越境している
- 隣地の建物・塀・配管などが自分の土地へ越境している
- 境界線そのものが明確でなく、本当に越境しているのか判断できない
ここで大切なのは、見た目だけで「越境している」と決めつけないことです。
ブロック塀の中心や側溝、フェンスの位置が、そのまま法的な境界線とは限りません。まず境界の位置を確認して初めて、越境の有無や範囲を判断できます。
塀・庇・雨どい・配管など、越境物によって確認ポイントは異なる
一口に越境といっても、その内容によって売却への影響や対応方法は異なります。
1.ブロック塀・フェンス
古い住宅では、境界線上や境界付近に塀が設置されていることがあります。
まず確認したいのは、「塀のどの位置が境界なのか」「塀は誰の所有物なのか」という点です。
境界線上に共同で設置された塀なのか、どちらか一方の敷地内に設置された塀なのかによって、取り扱いは変わります。測量によって数センチ程度の越境が判明することもあります。
2.屋根・庇・雨どい
建物本体は敷地内に収まっていても、軒先、庇、雨どいなどが空中で境界線を越えているケースがあります。
このような「空中越境」も確認対象です。買主が将来建て替えや増改築をするとき、隣地との調整が必要になる可能性があるためです。
3.給排水管・ガス管など
地上からは見えませんが、地中の給排水管などが隣地を通っているケースもあります。
特に昔からの住宅や複数棟が一体的に利用されていた土地では、現在の土地境界とは異なるルートで配管されている場合があります。
配管の越境では、単に位置だけでなく、将来の修理・交換時に隣地へ立ち入る必要があるか、移設できるのかといった点まで考える必要があります。
4.樹木の枝・根
樹木については、塀や建物とは別に民法第233条に規定があります。
原則として、隣地の竹木の枝が境界を越えている場合は、その竹木の所有者に切除を求めることになります。現在の民法では、催告しても相当期間内に切除されない場合、所有者や所在を知ることができない場合、急迫の事情がある場合などには、一定の条件のもと越境された土地の所有者が枝を切り取ることができる規定があります。
根が境界線を越えている場合については、民法第233条第4項に切取りの規定があります。ただし、樹木への影響や近隣関係もあるため、売却準備ではいきなり切除するより、状況確認と隣地との協議から始める方が安全です。
なお、この民法第233条の規定は竹木についてのものであり、庇・塀・雨どい・配管などの越境を同じルールで処理できるわけではありません。
越境が見つかったら「撤去」より先に5つの手順で整理する
越境物が見つかったからといって、すぐに壊したり移設したりする必要があるとは限りません。
実務では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
1.過去の境界資料を確認する
まず、次のような資料が残っていないか確認します。
- 地積測量図
- 確定測量図
- 境界確認書・筆界確認書
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書
- 過去に隣地所有者と交わした覚書
- 道路・水路などの境界関係資料
相続した実家では、古い契約書や図面の中に越境についての取り決めが残っていることもあります。
2.現地を確認する
境界標が残っているか、塀・屋根・雨どい・配管などがどの位置にあるのか確認します。
ただし、境界標が一つ見つかったからといって、土地全体の境界を自己判断できるとは限りません。
3.必要に応じて土地家屋調査士へ測量を依頼する
境界が不明確な場合や、越境の程度を正確に確認する必要がある場合は、土地家屋調査士による調査・測量を検討します。
確定測量を行う場合には、資料調査と現地測量を行い、必要に応じて隣地所有者や道路・水路の管理者との立会いを進めます。
京都市が管理する道路については、「道路区域」と土地の境界が必ずしも同じとは限りません。京都市も、道路区域明示図について、場所によっては土地境界の証明として利用できない場合があると案内しています。
したがって、「道路の舗装の端」「側溝」「L型側溝」などを見ただけで土地境界を判断しないことも重要です。
4.隣地所有者と対応を協議する
越境が確認されたら、隣地所有者と今後の扱いを話し合います。
物理的に簡単に撤去・移設できるものなら、売却前に解消する方法があります。
一方、建物の庇や基礎、古い塀など、すぐに撤去すると大きな費用がかかったり建物へ影響したりするものは、現況のまま残し、将来の建て替えなどの際に解消する方法も考えられます。
5.合意内容を書面にする
越境をすぐに解消しない場合には、必要に応じて隣地所有者との間で覚書などを取り交わします。
具体的な内容は物件ごとに異なりますが、例えば、
- どの物がどちらの土地へ越境しているのか
- 双方が越境の存在を確認していること
- 現時点では撤去・移設しないこと
- 建て替え・大規模修繕などの際に越境を解消すること
- 所有者が変わった場合の取り扱い
などを整理します。
覚書は「書けば何でも解決する書類」ではありません。越境の内容や権利関係、将来の対応方法によって適切な記載は異なるため、複雑な案件や紛争性がある場合には弁護士等への確認も検討します。
越境を「なくすこと」より、買主が判断できる状態にすることが重要
越境物の売却で大切な視点があります。
それは、売却前に越境を100%なくすことだけが解決策ではないということです。
例えば、築年数の経過した住宅を土地として購入し、すぐに建て替える買主であれば、売主が高額な費用をかけて庇を改修するより、建物解体時に越境を解消する方が合理的なケースがあります。
反対に、隣地から大きな構造物が越境し、買主の建築計画や土地利用を妨げる場合には、現況のままでは購入判断に大きく影響するでしょう。
つまり、見るべきなのは「越境があるか、ないか」の二択ではありません。
その越境が、買主の土地利用・建て替え・維持管理・将来売却へどの程度影響するのかという視点が重要です。
これは査定価格を考える場合も同じです。
数センチの雨どいの越境と、土地の有効利用を妨げる大きな建物越境では、買主が感じるリスクは大きく異なります。
さらに、同じ越境でも、
- 正確な測量図がある
- 隣地所有者も越境を認識している
- 覚書が交わされている
- 将来の解消方法が決まっている
という状態と、「境界も分からず、隣地とも話していない」という状態では、買主が受ける印象は大きく変わります。
不動産価格を下げやすいのは、越境そのものだけではなく、「何が起こるか分からない状態」でもあるという点は、売主が知っておきたい判断軸です。
売却時には越境の事実と対応状況を買主へ説明する
越境を把握している場合は、その内容を売却を依頼する不動産会社へ伝え、買主にも契約前に説明できるよう整理しておくことが重要です。
一般的な不動産売買では、境界や越境について、物件状況報告書、告知書、重要事項説明書、売買契約書などへ状況を反映させます。
例えば、
- 越境している物の種類
- 越境している方向
- 測量によって確認した範囲
- 隣地との協議状況
- 覚書の有無
- 売却前に撤去するのか現況で引き渡すのか
- 将来どのように解消する予定なのか
などを買主が理解できるようにします。
特に注意したいのが、「現況有姿で売るから説明しなくてもよい」という考え方です。
民法では、売主が契約不適合責任を負わない旨の特約を設けた場合でも、売主が知りながら買主に告げなかった事実については、責任を免れることができないとする規定があります(民法第572条)。
だからこそ、売主が把握している越境については、隠すのではなく、契約前に状況と取り扱いを明確にしておくことが重要です。
一方、相続物件などでは、売主自身が過去の事情を知らないこともあります。
その場合に、分からない内容を推測して「問題なし」とするのではなく、分かっていること、分からないこと、調査した内容を区別して説明することが大切です。
伏見区で相続した実家や空き家を売るなら、境界確認は早めに
越境問題が売却を遅らせる理由の一つは、解決方法がないからではなく、関係者との確認に時間がかかるからです。
例えば、隣地所有者が遠方に住んでいる、相続登記がされていない、共有者が複数いる、道路や水路との境界確認が必要といった場合には、調査や立会いに時間がかかることがあります。
京都市では、市有地との土地境界明示について、資料調査・現地調査・隣接所有者との立会いなどの手続きが設けられています。また、市が管理する道路、里道、水路などについても、それぞれ境界に関する確認手続きがあります。
そのため、「買主が決まってから越境を調べよう」とすると、契約や引渡しのスケジュールに影響することがあります。
自宅・実家・空き家の売却を考え始めた段階で、まず次の点を確認してみてください。
- 境界標が現地に残っているか
- 過去の測量図が残っているか
- 隣地との覚書が残っていないか
- 屋根・庇・雨どい・塀などが境界付近にないか
- 古い配管経路に不明点がないか
センチュリー21ホームサービス伏見桃山店では、京都市伏見区の不動産売却査定とあわせて、境界や越境について「どこまで確認してから売り出すべきか」を物件ごとに整理することができます。
測量や境界確定が必要な場合には、不動産会社だけで判断するのではなく、土地家屋調査士など適切な専門家と連携して進めることが大切です。
売却査定と境界確認を別々の問題として考えるのではなく、「どの状態で市場へ出せば買主が判断しやすいか」まで含めて売却計画を立てることが、結果としてスムーズな取引につながります。
まとめ
塀・庇・雨どい・配管などの越境があっても、不動産の売却自体が直ちにできなくなるわけではありません。
大切なのは、まず境界を確認し、何がどの程度越境しているのかを明らかにすることです。
そのうえで、すぐに撤去するのか、将来の建て替え時などに解消するのか、隣地所有者とどのような合意をしているのかを整理します。
そして、買主には越境の事実だけではなく、測量結果や覚書、今後の対応方法まで含めて説明できる状態にしておくことが重要です。
越境物件の売却で問題になりやすいのは、「越境があること」そのものより、境界・権利関係・将来の対応が分からないことです。
売却前の確認によって不確実な部分を一つずつ減らしておけば、越境がある物件でも買主は判断しやすくなります。
京都市伏見区で自宅や相続した実家、空き家の売却を考えている方は、価格査定だけでなく、境界標・測量資料・越境物の有無まで早めに確認しておくと、その後の売却計画を立てやすくなるでしょう。
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