
≫ じつは“長さ”よりすごい、7つの商店街と2つの「日本初」
伏見桃山駅を出ると、目の前に大手筋商店街のアーケードが広がります。
そのまま西へ歩き、納屋町商店街を南へ曲がり、竜馬通りを抜けると、酒蔵や寺田屋のある中書島へ。
「これほど商店街が続くなら、日本一長いのでは?」
そう思う人がいても不思議ではありません。
しかし、調べてみると、本当のすごさは長さではありませんでした。
伏見には、城下町・港町・駅前を7つの商店街が結ぶ、ほかではあまり見られない“暮らしの道”があるのです。
≫ 今回の秘密|この記事で分かること
- 伏見に「日本一長い商店街」があるのか
- 「日本一」の答えが一つに決まらない理由
- 伏見桃山から中書島まで連なる7つの商店街
- 商業の中心が港から駅前へ移った歴史
- 大手筋と納屋町が持つ2つの「日本初」
≫ 秘密①|結論―伏見の商店街は「長さ日本一」ではない
先に答えをお伝えすると、伏見大手筋商店街は日本一長い商店街ではありません。
京都市の移住情報サイトでは、伏見大手筋商店街の長さは約400メートルと紹介されています。
では、日本一はどこなのでしょうか。
長年、日本一長い商店街として知られてきたのは、大阪の天神橋筋商店街です。天神橋一丁目から七丁目まで、約2.6キロ続きます。
ところが2024年、東京・台東区で4つの商店街が連携し、約3キロの「東京国際通り振興会」が発足。「日本一」を宣言しました。
つまり、「一つの商店街として数えるのか」「複数の商店街の連合を含めるのか」「アーケード部分だけを測るのか」で、答えが変わります。
少なくとも、今回確認した国や自治体の資料には、全国共通の測り方による公式ランキングは見当たりませんでした。
そのため、伏見を「日本一長い商店街」と紹介するのは正確ではありません。
ただし、ここからが伏見のおもしろいところです。
≫ 秘密②|伏見は“一本の長い商店街”ではなく、7つがつながる町
伏見中心部には、次の7つの商店街・商店会が連なっています。
- 伏見大手筋商店街
- 伏見風呂屋町商店街
- 納屋町商店街
- 油掛商店会
- 竜馬通り商店街
- 中書島繁栄会
- 中書島柳町繁栄会
京都市伏見区役所も「伏見中心部には7つの商店街が連なる」と紹介しています。
大阪の天神橋筋のように、長い一本の線になっているわけではありません。
東西に延びる大手筋から、納屋町や竜馬通りが南へ分かれ、油掛や中書島の商業地へつながります。
上から見ると、一本の線というより、町を縫うように広がる網の目に近い形です。
買い物をする道。
駅へ向かう道。
酒蔵へ働きに行く道。
船着場へ荷物を運んだ道。
それぞれの時代に必要だった道が重なり、現在の商店街になったのです。
≫ 秘密③|商店街の道は、秀吉の城下町から始まった
「大手筋」という名前は、豊臣秀吉が築いた伏見城の大手門へ続く道だったことに由来します。
大手門とは、城の正面玄関にあたる門です。
現在の大手筋商店街を東へ進むと、御香宮神社や桃山丘陵方面へ向かいます。商店街の道筋そのものが、城下町の骨組みを受け継いでいるのです。
大手筋の西側に続く納屋町商店街も、伏見城の築城とともに生まれたとされています。
この付近には秀吉の家臣・堀尾吉晴の屋敷があり、吉晴の官職「帯刀」にちなんで、かつては「帯刀町」と呼ばれていました。
伏見城がなくなった後も、伏見は宇治川や高瀬川を使って人と荷物が行き交う港町として栄えます。
城へ向かう大手筋。
商人が集まった納屋町。
船着場に近い油掛。
港町の記憶を残す中書島。
7つの商店街を歩くことは、伏見の都市の歴史を順番にたどることでもあるのです。
≫ 秘密④|伏見の一等地は、港から駅前へ移動した
ここで、不動産会社らしい視点から街を見てみましょう。
財務省の資料によると、1888年当時、伏見で宅地価格が最も高かったのは「中油掛町」でした。
当時の伏見では船と街道が交通の中心で、油掛町や伏見港周辺に人・物・お金が集まっていたからです。
ところが1910年、京阪電車が開通します。
現在の伏見桃山駅ができると、街の中心は港に近い油掛町から、駅に近い大手筋へ少しずつ移動しました。銀行も大手筋周辺へ集まり始めます。
これは、現代の街でも見られる変化です。
新しい駅や道路ができると、人の流れが変わり、商業地や住宅地の人気も変わります。
伏見の商店街を歩くと、港が主役だった時代、路面電車の時代、京阪・近鉄が街を結ぶ時代が、一つの町の中に重なって見えてきます。
「商店街の場所には、その時代の便利な場所が表れる」
そんな目で歩くと、伏見の街が立体的に見えてきます。
≫ 秘密⑤|長さ日本一ではない。でも「日本初」が二つある
伏見の商店街が誇るべきものは、長さではありません。
じつは大手筋と納屋町には、それぞれ「日本初」があります。
1996年、納屋町商店街に日本初のギャラリーアーケードが完成しました。
パリの「パッサージュ」を思わせる高い天井と、アールデコ風の絵が並ぶ、明るい空間です。
その翌年の1997年には、大手筋商店街に日本初のソーラーアーケードが完成しました。
屋根に設けた太陽光発電設備で、アーケード内の照明やからくり時計などの電力をまかなう仕組みです。
わずか一年違いで、隣り合う二つの商店街に「日本初」が誕生したのです。
歴史を守るだけでなく、その時代の新しい技術やデザインを取り入れる。
それも伏見の商店街らしさではないでしょうか。
≫ 実際に歩いてみよう
|おすすめ散策ルート
近鉄「桃山御陵前駅」
または京阪「伏見桃山駅」
↓
伏見大手筋商店街を西へ
↓
風呂屋町商店街を少し寄り道
↓
納屋町商店街を南へ
↓
油掛商店会
↓
竜馬通り商店街
↓
蓬莱橋・寺田屋周辺
↓
中書島柳町繁栄会・中書島繁栄会
↓
京阪「中書島駅」
通り抜けるだけなら約30分が目安です。
買い物や食事、寺田屋、酒蔵、水辺の散策を組み合わせるなら、1時間30分から2時間ほど見ておくと楽しめます。
|おすすめの季節
歩きやすいのは春と秋です。
春は宇治川派流の桜、秋は酒蔵の白壁と澄んだ空が美しく、商店街と水辺を一緒に楽しめます。
夏の夜市など、7商店街が連携する催しが開かれることもあります。日程は毎年変わるため、訪問前に各商店街や伏見区役所の公式情報をご確認ください。
|写真スポット
- 大手筋商店街の東入口
- 納屋町商店街の高いアーケード
- 竜馬通りの石畳と町家風の街並み
- 蓬莱橋から見る水辺
- 酒蔵の白壁と柳並木
|子どもと歩くなら
「アーケードの屋根は、場所によってどう違う?」
「昔の名前が残る看板はある?」
そんな探検をしながら歩くと、商店街全体が社会科の教室になります。
商店街同士の境目には車や自転車が通る交差点もあります。小さなお子さまと歩くときは、道を渡る場所でいったん立ち止まりましょう。
≫ 地元民しか知らない豆知識
大手筋と納屋町が交わる角には、現在も銀行があります。
これは偶然ではありません。
京阪電車の開通後、港周辺から大手筋へ人の流れが移ると、銀行も新しい商業の中心へ集まってきました。
つまり、交差点に残る銀行の場所は、約100年前に伏見の中心が移ったことを伝える“街の化石”なのです。
さらに、納屋町の日本初のギャラリーアーケードと、大手筋の日本初のソーラーアーケードは歩いてすぐ。
伏見には「二つの日本初を続けて歩ける場所」があります。
長さを競わなくても、十分に「へぇ!」となる商店街です。
≫ センチュリー21ホームサービス伏見桃山店からひとこと
伏見桃山・中書島周辺の魅力は、観光地と生活の場が離れていないことです。
駅を降りると商店街があり、その先にスーパー、飲食店、銀行など、毎日の暮らしに関わる施設が集まっています。少し歩けば、酒蔵や水辺、歴史ある町並みにも出会えます。
京阪・近鉄を利用しやすく、徒歩で用事を済ませやすいことは、子育て世代にもシニア世代にも大切なポイントです。
住まいを検討するときは、駅からの距離だけでなく、平日の朝、夕方、雨の日にも歩いてみてください。
商店街の人通りや自転車の多さ、夜の明るさ、日常の買い物のしやすさまで見ると、その街で暮らす自分の姿が浮かびやすくなります。
≫ 編集後記
日本一長い商店街を探していたはずが、最後に見つかったのは、長さでは測れない伏見の魅力でした。
城へ続いた道、舟が着いた港、電車が停まった駅。それぞれの時代の中心を7つの商店街が結び、今も人の暮らしを支えています。
大手筋から納屋町へ曲がると、空気が少し変わります。竜馬通りを抜けると、今度は水と酒蔵の景色が近づいてきます。
一本の商店街では味わえない、小さな場面転換の連続です。
次に伏見桃山を訪れたときは、目的のお店だけで帰らず、もう一つ先の商店街まで歩いてみてください。きっと、まだ知らなかった伏見に出会えます。
≫ FAQ
Q1.日本一長い商店街は伏見にありますか?
いいえ。伏見大手筋商店街は約400メートルで、日本一長い商店街ではありません。日本最長については、約2.6キロの大阪・天神橋筋商店街や、約3キロの東京国際通り振興会などの名前が挙がりますが、商店街の数え方によって答えが変わります。
Q2.伏見中心部にはいくつの商店街がありますか?
伏見大手筋、伏見風呂屋町、納屋町、油掛、竜馬通り、中書島繁栄会、中書島柳町繁栄会の7つです。伏見桃山駅周辺から中書島駅方面へ連なっています。
Q3.大手筋という名前はどこから来たのですか?
豊臣秀吉が築いた伏見城の正面玄関にあたる「大手門」へ続く道だったことに由来します。現在の商店街の道筋にも、伏見城下町の都市計画が受け継がれています。
Q4.伏見の商店街にある「日本初」とは何ですか?
1996年に納屋町商店街へ日本初のギャラリーアーケードが完成し、1997年には大手筋商店街へ日本初のソーラーアーケードが完成しました。
Q5.伏見の商店街は子どもと一緒に歩けますか?
親子で歩けます。アーケードの違いや古い町名を探しながら歩くと、歴史学習にもなります。ただし、商店街の境目には車や自転車が通る交差点があるため、横断時には注意が必要です。
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