Vol.14 ▶ 「中書島」という不思議な地名の由来とは?

 

≫  伏見の歴史が息づく“島”の物語

 

京阪電車の特急停車駅として、多くの人が利用する「中書島駅」。

毎日駅名を目にしていても、「中書島」という少し変わった名前の由来をご存じの方は意外と少ないのではないでしょうか。

実はこの地名には、豊臣秀吉が築いた伏見城、宇治川の流れ、そして戦国武将との深い関わりが隠されています。

さらに驚くことに、中書島は昔、本当に「島」でした。

今回は、地名に込められた歴史をたどりながら、中書島の知られざる魅力をご紹介します。

 


 

≫ この記事で分かること


  • 「中書島」という名前の本当の由来
  • なぜこの場所は「島」だったのか
  • 豊臣秀吉と伏見城との関係
  • 舟運で栄えた伏見港の歴史
  • 現在も街に残る歴史の痕跡

 


 

≫ 秘密① 本当に「島」だった中書島

 

「中書島」という名前を聞くと、「昔は島だったのかな?」と思う方もいるでしょう。

実は、その想像は正解です。

現在の東柳町や西柳町周辺は、かつて宇治川の流れに囲まれた中州のような場所でした。

現在では護岸整備や河川改修によって当時の姿を見ることはできませんが、豊臣秀吉が伏見城を築いた頃には、水運の拠点として重要な場所だったことが京都市の資料でも紹介されています。

伏見は昔から「水の都」と呼ばれるほど川との関わりが深い町です。

酒造りに欠かせない伏流水だけでなく、宇治川・桂川・木津川が合流する淀川水系の要衝でもあり、多くの船が行き交いました。

つまり、中書島という名前には「水辺の町・伏見」を象徴する歴史がそのまま残されているのです。

 


 

≫ 秘密② 「中書」は人の名前ではなかった

 

「中書島」の「中書」は、人名ではありません。

実は、豊臣秀吉の家臣として知られる戦国武将・脇坂安治(わきさか やすはる)の官職に由来すると伝えられています。

脇坂安治は賤ヶ岳の七本槍の一人として名を馳せた武将です。

伏見城築城の頃、この島に屋敷を構えていました。

当時は官職を中国風の呼び方(唐名)で呼ぶ文化があり、「中務大輔(なかつかさのたいふ)」という官職は「中書」と呼ばれていました。

そのため、人々はこの場所を

「中書様のお屋敷がある島」

と呼ぶようになり、やがて「中書島」という地名として定着したと考えられています。

普段何気なく使っている駅名の中に、戦国時代の文化が残っているのは、とても面白いですね。

 


 

≫ 秘密③ 伏見城の城下町として発展した場所

 

中書島の歴史を語るうえで欠かせないのが、豊臣秀吉が築いた伏見城です。

伏見城の築城によって、多くの武将や商人、職人が全国から集まり、伏見は一気に大都市へ発展しました。

中書島はその城下町の西側に位置し、水運の玄関口として重要な役割を担います。

物資だけではありません。

全国から訪れる人々も、この場所を経由して伏見城下へ入っていきました。

現在の駅前を歩いていると想像しにくいかもしれませんが、約430年前には全国から船が集まり、多くの人で賑わう港町だったのです。

だからこそ、現在でも中書島周辺には寺田屋、月桂冠大倉記念館、十石舟の発着場など、歴史を感じられるスポットが数多く残っています。

町を歩いているだけでも、城下町の面影を感じられるのが中書島の魅力です。

 


 

≫ 秘密④ 中書島は「京都の港町」だった

 

現在の中書島駅前にはバスやタクシーが行き交い、住宅や商店が並んでいます。

しかし江戸時代、この場所は京都でも有数の「港町」として栄えていました。

その中心となったのが伏見港です。

大阪と京都を結ぶ三十石船、伏見の酒を運ぶ高瀬舟など、多くの船がここを発着し、人や物資が絶え間なく行き交いました。

当時の京都は海に面していません。

だからこそ、水運は今の鉄道や高速道路のような役割を担っていたのです。

伏見で造られた日本酒が全国へ広まった背景にも、この水運の発達がありました。

酒蔵が今も中書島周辺に多く残っているのは、その名残ともいえます。

春や秋に十石舟が濠川をゆっくり進む光景を見ると、400年以上前から続く伏見の歴史が今も暮らしの中に息づいていることを実感できます。

 


 

≫ 秘密⑤ 駅名になったことで地名が受け継がれた

 

現在、多くの人が「中書島」という名前を知っているのは、京阪電車の中書島駅があるからでしょう。

駅が開業したことで、この歴史ある地名は多くの人に親しまれるようになりました。

もし駅名が別の名前になっていたら、「中書島」という地名は今ほど知られていなかったかもしれません。

現在では京阪本線と宇治線が分岐する交通の要衝として、京都市内だけでなく宇治方面へのアクセス拠点にもなっています。

歴史ある地名が、現代の交通ネットワークの中心として生き続けている。

これは京都らしい「歴史と暮らしの共存」を感じられる風景の一つです。

駅前から少し歩くだけで、寺田屋や月桂冠大倉記念館、十石舟のりば、濠川沿いの柳並木など、歴史を感じる場所へたどり着けます。

「駅を降りた瞬間から歴史散歩が始まる。」

そんな駅は京都市内でもそう多くありません。

 


 

≫ 実際に歩いてみよう

 

|おすすめ散策ルート(約60~90分)

京阪「中書島駅」
↓ 徒歩約3分

寺田屋

↓ 徒歩約5分

濠川・十石舟のりば

↓ 徒歩約5分

月桂冠大倉記念館

↓ 徒歩約10分

伏見港公園

↓ 徒歩約10分

竜馬通り商店街

↓ 徒歩約15分

京阪「伏見桃山駅」

歴史と酒蔵の町並みを楽しみながら歩ける人気のコースです。

 

|おすすめの季節

  • :濠川沿いの桜と十石舟の景色は伏見を代表する風景です。
  • 初夏:新緑が美しく、水辺の散策が気持ちよい季節です。
  • :紅葉と酒蔵の白壁のコントラストが楽しめます。
  • :観光客が比較的少なく、静かな伏見の街並みをゆっくり味わえます。

 

|写真スポット

  • 十石舟と酒蔵
  • 濠川沿いの柳並木
  • 月桂冠大倉記念館周辺
  • 中書島駅前から続く酒蔵の町並み

 

|子ども連れなら

伏見港公園がおすすめです。

遊具や広場があり、小さなお子さまも遊べます。

春には桜、秋には紅葉も楽しめるため、散策の休憩にもぴったりです。

 

|ひと休みにおすすめ

竜馬通り商店街や伏見桃山駅周辺には、町家を改装したカフェや和菓子店、酒蔵直営店などが点在しています。

散策の途中でゆっくり休憩しながら、伏見ならではの雰囲気を味わってみてください。

 


 

≫ 地元民しか知らない豆知識

 

「中書島」という名前は全国的にも珍しいため、「昔は島だったから付いた名前」と思われがちです。

しかし実際には、「島」であったことに加え、戦国武将・脇坂安治の官職名「中書」が重なって生まれたとされる点が、この地名の大きな特徴です。

つまり、「地形」と「人物」の両方が由来になった可能性がある、京都でも珍しい地名なのです。

さらに、現在でも中書島駅周辺を歩くと、道路がゆるやかに曲がっていたり、水路が多く残っていたりする場所があります。

これは、かつて川に囲まれた地形の名残ともいわれています。

普段何気なく歩いている道にも、昔の川の流れが隠れているかもしれません。

そんな視点で街歩きをすると、いつもの景色が少し違って見えてきます。

 


 

≫ センチュリー21ホームサービス伏見桃山店からひとこと

 

中書島は、歴史だけでなく暮らしやすさも兼ね備えたエリアです。

京阪本線と宇治線が利用できる交通利便性に加え、伏見桃山エリアも徒歩圏内。

スーパーや商店街、病院、公園など生活施設が充実しており、子育て世代からシニア世代まで幅広い方に人気があります。

休日には酒蔵の町並みや濠川を散策し、四季折々の景色を楽しめるのも、この街ならではの魅力です。

歴史が身近にありながら、日常生活の利便性も高い。

中書島は、「京都らしい暮らし」を実感できるエリアの一つといえるでしょう。

 


 

≫ 編集後記

 

駅名や地名は、毎日のように目にしていても、その由来を知る機会は意外と少ないものです。

「中書島」という名前には、かつて宇治川に囲まれた島の姿、戦国武将・脇坂安治の足跡、そして伏見港として栄えた歴史が重なり合っています。

地名は、先人たちがこの土地で積み重ねてきた歴史を今に伝える「生きた文化財」ともいえます。

次に中書島駅で電車を降りたときは、ぜひ少しだけ周囲を歩いてみてください。

酒蔵の白壁、静かに流れる濠川、柳並木、そして歴史ある町並み。

きっと、これまでとは違った景色が見えてくるはずです。

伏見には、まだまだ地名に隠された物語が数多く残されています。

そんな「街の秘密」をこれからも一緒に探しながら、伏見の魅力を再発見していただければ嬉しく思います。

 


 

≫ FAQ

 

Q1. 「中書島」という名前はどういう意味ですか?

「中書島」は、現在の京都市伏見区東柳町・西柳町付近が、かつて宇治川に囲まれた島のような地形だったことに由来する「島」と、豊臣秀吉の家臣・脇坂安治が任じられた官職「中務大輔」の唐名「中書」が組み合わさって名付けられたと伝えられています。有力な説として京都市の資料でも紹介されています。

Q2. 中書島は本当に島だったのですか?

はい。現在のような陸地ではなく、宇治川の流れに囲まれた中州状の土地だったとされています。その後の河川改修や埋め立てにより現在の地形になりましたが、地名には当時の面影が残されています。

Q3. 中書島と伏見城にはどんな関係がありますか?

豊臣秀吉が伏見城を築いたことで、この地域は城下町として発展しました。中書島は伏見城へ向かう水運の玄関口となり、多くの武将や商人、人々が船で行き交う重要な拠点として栄えました。

Q4. 中書島駅周辺にはどんな見どころがありますか?

寺田屋、月桂冠大倉記念館、十石舟のりば、濠川沿いの柳並木、伏見港公園などがあります。歴史散策と酒蔵の町並みを同時に楽しめるエリアとして人気があります。

Q5. 中書島は住みやすい街ですか?

京阪本線と宇治線が利用できる交通利便性が高く、伏見桃山エリアも徒歩圏内です。スーパーや商店街、医療機関、公園など生活環境も整っており、歴史ある街並みと暮らしやすさを兼ね備えたエリアとして人気があります。

 

 

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