2026.9.7
【番外編】不動産会社が解説する、災害に強い暮らしのつくり方|住まい選びから日頃の備えまで

「災害に強い家」と聞くと、耐震性能の高い新しい住宅を思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん建物の強さは重要です。しかし、不動産会社の立場から住まいを見ると、防災は建物だけで決まるものではありません。
土地の高低差、河川や水路との位置関係、周辺道路、想定される浸水や土砂災害、避難場所までの経路。そして建物の状態や家具の配置、備蓄、家族の連絡方法まで。これらが重なって、災害時の暮らしやすさを左右します。
つまり、災害に強い暮らしとは「絶対に被災しない家」を探すことではなく、その場所で想定されるリスクを知り、建物の特徴を理解し、起きたときの行動まで準備しておくことです。
今回は、京都市伏見区で住み替えを考えている方、現在の持ち家の防災を見直したい方に向けて、不動産会社だからこそお伝えしたい「住まいと防災」の考え方を解説します。
災害に強い住まい選びは「建物を見る前」から始まる
住宅を見学すると、間取り、日当たり、収納、駅までの距離、買い物の便利さなどに目が向きます。
しかし、防災という視点では、建物に入る前から確認は始まっています。
最初に見ておきたいのが、自治体などが公開しているハザードマップです。
京都市伏見区では、水害・土砂災害・地震などに関するハザードマップが公開されています。物件を検討するときは、単に「色が付いているか」だけを見るのではなく、
・洪水時に想定される浸水深はどの程度か
・近くに河川や水路があるか
・土砂災害警戒区域などに該当していないか
・指定緊急避難場所はどこか
・指定避難所はどこか
・そこまでどのような経路で移動するのか
といったところまで確認したいものです。
ここで大切なのは、ハザードマップを「安全な土地と危険な土地を二つに分ける地図」と考えないことです。
ハザードマップは一定の想定条件に基づいて作成されるものであり、表示だけで将来の災害を完全に予測できるものではありません。
反対に、災害リスクが示されている場所だからといって、直ちに「住んではいけない」と判断するものでもありません。
「この場所には、どのような災害が想定されているのか」
「それに対して、どんな備えが必要なのか」
という視点で見ることが重要です。
京都市伏見区は広く、河川に近い低平地もあれば、丘陵地や山際を含む地域もあります。
そのため、「伏見区だから安全」「この地域だから危険」と大きなくくりで判断するのではなく、検討している物件の位置を一件ずつ確認することが住まい選びの第一歩です。
中古住宅は「築年数」だけでなく、現在の建物状態を確認する
中古住宅を見るとき、「築浅だから安心」「古いから地震に弱い」と築年数だけで判断してしまうことがあります。
もちろん建築された時期は、耐震性を考えるうえで重要な情報です。
特に1981年(昭和56年)以前に建てられた住宅については、耐震診断を検討することが重要です。
ただし、中古住宅は建築時期だけでなく、その後どのように維持管理されてきたかによって状態が異なります。
購入前には、
・基礎や外壁に気になるひび割れがないか
・屋根や外壁の劣化状況
・雨漏りの形跡がないか
・建物に傾きなどがないか
・過去の修繕・リフォーム履歴
・耐震改修の有無
なども確認しておきたいところです。
より詳しく建物の状態を把握したい場合には、専門家による調査を利用する方法があります。
宅地建物取引業法上の「建物状況調査」は、国の登録を受けた講習を修了した建築士である「既存住宅状況調査技術者」が、既存住宅の基礎や外壁などについて、ひび割れや雨漏りなど一定の劣化・不具合の有無を目視・計測等によって調査する制度です。
ただし、ここには注意点があります。
建物状況調査を受けたからといって、住宅に隠れた不具合が一切ないことを保証するものではありません。
あくまで調査時点で確認できる範囲について建物の状態を把握し、購入判断や修繕計画の材料にするものです。
そして防災という観点では、「建物が倒れないか」だけではなく、災害後にその家で生活を続けられるかという視点も持っておきたいものです。
例えば、浸水が想定される場所なら、電気設備や給湯設備などがどこにあるか。停電したときでも安全に移動できるか。家具が倒れた場合に玄関や廊下を塞がないか。
内覧するときに一度、
「もし夜中に大きな地震が起きたら?」
「大雨で周辺道路が通りにくくなったら?」
と想像してみてください。
いつもの間取り図が、少し違って見えてくるはずです。
避難所へ行くことだけが防災ではない。「在宅避難」も考えておく
「災害が起きたら、とにかく避難所へ行けばいい」
そう考えている方もいるかもしれません。
しかし、災害の種類や自宅の被害状況によって取るべき行動は異なります。
自宅に倒壊や浸水などの危険がなく、安全に生活できる状態であれば、自宅にとどまる「在宅避難」が選択肢になる場合があります。
そのために欠かせないのが家庭での備蓄です。
国では、大規模災害への備えとして、食料や飲料水などを最低3日分、できれば1週間分程度備蓄することを推奨しています。
飲料水は、1人1日3リットル程度が一つの目安です。
例えば4人家族なら、飲料水だけでも1日約12リットル。3日なら約36リットルになります。
数字にすると、「意外に多い」と感じる方もいるのではないでしょうか。
そこで取り入れやすいのが、普段食べている食品や飲料を少し多めに買い、古いものから使い、使った分を買い足していくローリングストックです。
また、忘れやすいのがトイレです。
断水や下水道・排水設備の被害などによって、自宅の建物自体に大きな被害がなくても、水洗トイレを通常どおり使用できなくなる場合があります。
そのため、
・飲料水
・食料
・携帯トイレ・簡易トイレ
・懐中電灯やランタン
・モバイルバッテリー
・カセットコンロ
・常備薬や衛生用品
などを、家族構成に合わせて準備しておきましょう。
そして、もう一つ忘れてはいけないのが、家族全員が一緒にいるときに災害が起こるとは限らないということです。
仕事中、学校、買い物中など、それぞれ違う場所で被災する可能性があります。
連絡が取れないときはどうするのか。どこで合流するのか。子どもや高齢の家族への対応はどうするのか。
非常用品を買うことだけが防災ではありません。
「家族がどう動くか」を事前に決めておくことも、大切な住まいの防災です。
防災の範囲は「玄関まで」ではない。避難経路まで歩いて確認する
不動産会社として物件を見るとき、建物と同じくらい気になるのが周辺環境です。
普段歩いている道路でも、防災という視点で見ると景色が変わります。
「ここは周囲より道路が低くなっている」
「近くに水路がある」
「この塀の横を通らないと避難できない」
「夜に停電したら、この道は歩きにくそうだ」
地図を眺めているだけでは気づかないことがあります。
特に地震時には、建物だけではなく、塀などの倒壊や落下物が避難経路に影響する可能性があります。
そこでおすすめしたいのが、自宅や購入を検討している物件から避難先まで、一度実際に歩いてみることです。
なお、「指定緊急避難場所」と「指定避難所」は同じものとは限りません。
指定緊急避難場所は、洪水や地震など災害の危険から命を守るために緊急的に避難する場所。一方、指定避難所は、自宅で生活できなくなった方などが一定期間避難生活を送るための施設です。
さらに、避難先は災害の種類によって異なる場合があります。
「近所の学校だから、とりあえずそこへ行けばいい」と思い込まず、自宅ではどの災害のときに、どこへ、どの経路で避難するのかまで確認しておくことが大切です。
できれば避難経路も一つだけでなく、状況に応じて別ルートを選択できるよう考えておくと安心です。
住まいの防災範囲は玄関までではありません。
「家の中→玄関→周辺道路→避難先」までを一つの生活圏として考える。
これも地域を知る不動産会社だからこそ、お伝えしたい住まい選びの視点です。
防災は「物件の欠点探し」ではなく、リスクを知って暮らし方を設計すること
災害リスクについて調べ始めると、「この場所にもリスクがある」「こちらにも注意点がある」と不安になることがあります。
しかし、日本で住宅を選ぶ以上、自然災害のリスクを完全にゼロにすることは現実的ではありません。
だからこそ大切なのは、「リスクがあるか、ないか」の二択だけで住まいを判断しないことです。
例えば、浸水リスクが想定されているなら、避難方法を確認し、必要に応じて火災保険の水災補償なども検討する。
古い住宅なら、建築時期や建物の状態を確認し、必要に応じて耐震診断や耐震改修を検討する。
地震時に家具が避難経路を塞ぎそうなら、家具を固定したり配置を変更したりする。
つまり、
立地を知る
↓
建物を知る
↓
暮らしを備える
↓
避難・連絡方法を決める
という順番で考えていくことが、災害に強い暮らしにつながります。
これは、これから家を買う人だけの話ではありません。
すでに持ち家に住んでいる方でも、ハザードマップを確認する、家具を固定する、備蓄を増やす、避難経路を家族で歩いてみるなど、今日からできることはたくさんあります。
不動産会社の仕事も、単に「家を売る」「物件を紹介する」だけではありません。
地域の地形や道路、住宅の特徴を知っているからこそ、「この家を買えるか」だけではなく、「この場所でどう暮らしていくか」まで一緒に考えること。
それも地域密着の不動産会社に求められる役割だと、私たちは考えています。
まとめ:災害に強い暮らしは「知ること」から始まる
災害に強い暮らしをつくるために、最初から高額な防災設備をすべてそろえる必要はありません。
まずは、自宅や購入を検討している物件について、「ここではどんな災害が想定されているのだろう?」と調べることから始めてみてください。
そして、
土地のリスクを知る。
建物の状態を知る。
家の中を備える。
避難方法を考える。
家族で共有する。
この積み重ねが、災害への備えになります。
次に物件を見学するときは、
「駅から何分?」
「収納は多い?」
という質問に、もう一つだけ加えてみてください。
「もし災害が起きたら、この家で家族はどう動くだろう?」
この問いを持って物件を見ると、日当たりや間取りだけを見ていたときとは違う「住まいの姿」が見えてきます。
センチュリー21ホームサービス伏見桃山店では、京都市伏見区での住まい探しや住み替え、不動産売却のご相談を承っています。
物件価格や間取りだけではなく、地域のハザード情報や周辺環境なども確認しながら、「その場所でどのように暮らしていくか」という視点を大切にした住まい選びをお手伝いします。
「気になる物件があるので、周辺の災害リスクも一緒に確認したい」
そんなご相談からでも、お気軽にお問い合わせください。
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