2026.8.31
【売却編】不動産売却の契約後、引き渡しまでに売主がやること一覧|必要書類・準備・注意点を解説

不動産の売買契約を結ぶと、「これで売却もひと安心」と肩の力が抜ける方は少なくありません。
ところが、実際には売買契約から残代金決済・引き渡しまでが、売主にとって最後の大切な準備期間です。
住宅ローンが残っていれば完済と抵当権抹消の準備、居住中なら引越し、不用品や残置物の撤去、登記関係書類や鍵の準備など、やることはいくつもあります。
しかも、不動産売買では「引き渡し日」が決まっています。書類が見つからない、荷物の撤去が間に合わないと直前になって気づくと、思った以上に慌ただしくなります。
そこでこの記事では、初めて自宅・実家・土地を売却する方に向けて、売買契約後から決済・引き渡しまでに売主がやることを時系列で整理します。
不動産売却は「契約したら終了」ではない|引き渡しまでの流れ
一般的な不動産売買では、売買契約後、おおむね次のような流れで進みます。
売買契約締結
↓
買主の住宅ローン手続きなど
↓
売主の引き渡し準備
↓
住宅ローン完済・抵当権抹消の準備
↓
引越し・残置物撤去・契約条件への対応
↓
必要に応じて物件の最終確認
↓
残代金決済・所有権移転登記等
↓
鍵・関係書類等の引き渡し
ここで最初に理解しておきたいのが、「売買契約の成立」と「売却手続きの完了」は別のタイミングだということです。
売買契約書には、引き渡し日だけでなく、残代金の支払いや物件の状態、付帯設備、契約不適合責任、境界、残置物などについて取り決められている場合があります。
たとえば、
「エアコンは残す」
「物置は撤去する」
「境界について引き渡しまでに対応する」
と取り決めていれば、それも売主が履行すべき内容になります。
契約後にまずやっておきたいのは、売買契約書や物件状況報告書(告知書)、付帯設備表などをもう一度確認して、「引き渡しまでに何をする約束になっているか」を整理することです。
契約後すぐに売主が確認したい5つのこと
1.住宅ローンが残っているなら金融機関への手続きを確認する
売却する不動産に住宅ローンが残っており、抵当権が設定されている場合、通常は残代金決済に合わせてローンを完済し、抵当権を抹消できるよう準備します。
注意したいのは、金融機関への連絡を決済直前まで放置しないことです。
一括返済の申込み方法や必要日数、抵当権抹消に必要となる書類の受取方法などは金融機関によって異なります。
「決済日にお金が入るから、その日に返済すればいい」と自己判断せず、不動産会社や司法書士と相談しながら早めに金融機関へ確認しましょう。
2.登記関係の必要書類を確認する
決済・引き渡しでは、所有権移転登記などのために司法書士から書類の提出を求められるのが一般的です。
売主が準備する可能性があるものとしては、
・登記識別情報通知または登記済権利証
・印鑑証明書
・実印
・運転免許証等の本人確認書類
・住民票、戸籍の附票等
・固定資産評価証明書等の登記に必要となる資料
・売却代金の振込先口座が分かるもの
・物件の鍵や関係書類
などがあります。
ただし、必要書類は取引や登記の状況によって異なります。上記がすべての売主に必要という意味ではありません。
担当する司法書士や不動産会社から指定された書類を準備してください。
そして2026年現在、特に注意したいのが住所・氏名の変更登記です。
2026年4月1日から、不動産の所有者は住所や氏名等に変更があった場合、原則として変更日から2年以内に変更登記を行うことが義務化されています。
売却予定があるのに、登記簿には「10年前に住んでいた住所」が記載されたまま――というケースでは、早めに司法書士へ相談しましょう。
3.引越しと残置物撤去を進める
居住中の自宅なら、契約で定められた引き渡し日に間に合うよう引越しを進めます。
意外と時間がかかるのが不用品の処分です。
大型家具、物置、押入れ、屋根裏、床下収納、庭などは後回しになりやすく、実家や空き家の場合は想像以上の量になることもあります。
「使わない物だから置いていってもいいだろう」
と判断するのは避けましょう。
何を残し、何を撤去するのかは売買契約等の取り決めに従うことが基本です。残してよいか判断できない物があれば、不動産会社を通して確認します。
4.修繕・撤去・境界などの約束を確認する
契約時に、
「この設備は撤去する」
「この荷物は処分する」
「境界について対応する」
などの条件を取り決めている場合は、期限に間に合うよう準備します。
売主にとっては小さな約束でも、買主にとっては購入判断の前提になっている可能性があります。
記憶だけに頼らず、売買契約書や関連書類を見ながら不動産会社と確認しましょう。
5.買主側の手続き状況を不動産会社と共有する
買主が住宅ローンを利用する場合、売買契約後も金融機関との手続きが続きます。
売主が買主のローン手続きを行うわけではありませんが、売買契約にローン特約がある場合など、その進捗が取引に影響することがあります。
特に「売却代金を使って新居を購入する」という住み替えでは、売却と購入のスケジュールが連動します。
引越しや新居の決済を先走って確定させるのではなく、不動産会社と進捗を共有しながら動くことが重要です。
引き渡し1~2週間前に確認したいこと
引き渡しが近づいたら、「家の中を空にする」という視点だけではなく、買主へ何を引き継ぐのかという視点で確認してみましょう。
戸建て住宅なら、
・玄関や勝手口などの鍵
・門扉や物置等の鍵
・設備の取扱説明書
・保証書
・建築確認関係の書類
・修繕やリフォーム関係資料
・測量図などの保管資料
マンションなら、これらに加えて宅配ボックスやトランクルーム等に関係する鍵・カードなどがないか確認します。
もちろん、物件によって存在するものは異なります。
電気・ガス・水道を早く止めすぎない
引越しが終わった瞬間にライフラインをすべて停止したくなりますが、買主による確認や清掃などで電気・水道等を使用するケースもあります。
停止時期は、不動産会社と相談して決めると安心です。
契約後に故障や損傷が発生したら連絡する
契約後、引き渡し前に設備が故障したり、建物に損傷が発生したりすることもあります。
その場合、売主だけの判断で修理・撤去・交換してしまうのではなく、まず不動産会社へ連絡しましょう。
どのような対応が必要になるかは、売買契約の内容や発生した事象によって異なります。
「契約時と状況が変わったら、まず報告する」
これだけでも引き渡し時の認識違いを減らせます。
決済・引き渡し当日は何をする?
残代金決済・引き渡しでは、買主・売主・不動産会社・司法書士・金融機関などが関係して手続きを進めるのが一般的です。
取引によって順序や方法は異なりますが、代表的には、
本人確認・登記関係書類の確認
↓
所有権移転等の登記手続きに必要な確認
↓
残代金等の支払い
↓
住宅ローン残債等の返済
↓
固定資産税等の精算
↓
仲介手数料等の支払い
↓
鍵・関係書類等の引き渡し
といった流れになります。
ここで覚えておきたいのが、売買価格と最終的な手取り額は同じではないということです。
住宅ローン残債の返済、仲介手数料、登記関係費用などがあれば、それらを考慮して資金計画を立てる必要があります。
また、固定資産税・都市計画税については、売買契約の取り決めに基づき売主・買主間で日割り等による精算を行うことがあります。
なお、売主が買主から受け取った未経過固定資産税・都市計画税相当額については、税務上、土地・建物の譲渡価額に算入される扱いとなります。
住み替えで売却代金を次の住宅購入に使う場合は、**「いくらで売れたか」だけではなく「最終的にいくら手元に残るか」**を確認しておくことが大切です。
失敗を防ぐなら「決済日から逆算」して準備する
引き渡し準備で怖いのは、大きな問題より小さな見落としです。
「権利証が見当たらない」
「登記上の住所が昔のままだった」
「粗大ごみの収集日が引き渡し後だった」
「物置の鍵をどこに置いたか分からない」
一つだけなら対応できても、決済直前に重なると慌ただしくなります。
そこで、売買契約を締結したら決済日から逆算して準備しましょう。
【契約直後】
売買契約書・付帯設備・告知内容を再確認。住宅ローン残債、登記情報、必要書類を確認する。
【1か月程度前】
引越し、不用品処分、残置物撤去、契約上必要な作業を進める。
【1~2週間程度前】
鍵、設備、残置物、引き継ぐ書類、司法書士から指定された必要書類などを再確認する。
【数日前】
決済日時、場所、持ち物、振込先、費用、当日の手順などを不動産会社・司法書士と最終確認する。
このように考えると、不動産売却に対する見方が少し変わります。
売買契約はゴールではなく、「約束した状態で買主へ物件を渡す」ための最終工程のスタートです。
まとめ
不動産の売買契約を締結した後、売主には決済・引き渡しまでにさまざまな準備があります。
住宅ローンの完済と抵当権抹消の準備、登記関係書類の確認、引越し、残置物の撤去、鍵や設備の確認、そして決済当日の手続き。
初めての売却なら、「契約が終わったのに、まだこんなにすることがあるの?」と感じるかもしれません。
しかし、すべてを売主一人で判断する必要はありません。
大切なのは、売買契約書に記載された条件を確認し、不動産会社・司法書士・金融機関などと連携しながら、決済日から逆算して準備することです。
そして2026年からは住所・氏名等の変更登記も義務化されています。長年所有している実家や以前住んでいた自宅を売却する場合は、登記上の住所・氏名についても早めに確認しておきましょう。
売買契約書に印鑑を押した日は、売却の大きな節目です。
そして残代金を受け取り、鍵を渡して、約束した状態で買主へ引き渡す日がもう一つの大切な節目。
最後の日に慌てないためにも、契約が終わったその日から、少しずつ準備を始めておきましょう。
※必要書類、登記手続き、費用、税務上の取り扱い、引き渡し条件等は、物件・契約内容・金融機関・登記状況等によって異なります。実際の取引では売買契約書を確認し、不動産会社、司法書士、金融機関、税理士等の専門家へご確認ください。
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