2026.5.23
【売却編】「大手に頼めば安心」は本当?不動産売却の囲い込み問題と損しない会社選びを解説

「不動産を売るなら、やっぱり大手に頼めば安心」
そう考える方は少なくありません。知名度があり、店舗数も多く、広告力もある会社なら、高く安全に売ってくれそうに感じるのは自然なことです。
しかし、不動産売却で本当に大切なのは「会社の大きさ」だけではありません。
むしろ、売主にとって重要なのは、物件情報をどれだけ公平に、広く、透明に販売してくれるかです。
不動産業界では、売主に見えにくいところで「囲い込み」と呼ばれる問題が指摘されてきました。簡単に言えば、本来は多くの不動産会社に紹介されるべき物件を、自社だけで取引しようとして、他社からの購入希望者を遠ざけてしまう行為です。
その結果、売主は「なかなか売れない」と思わされ、最終的に相場より安い価格で売却してしまうことがあります。
この記事では、囲い込みの仕組み、レインズの確認ポイント、売主自身ができる対策をわかりやすく解説します。
なぜ「査定額より低く売れた」が起こるのか
不動産売却でよくある後悔が、「査定では高かったのに、実際にはかなり値下げして売ることになった」というケースです。
もちろん、査定額はあくまで予想価格です。市場の反応、物件の状態、競合物件の有無によって、売却価格が変わることはあります。
ただし注意したいのは、最初から「高く売ること」より「自社で成約すること」が優先されてしまうケースです。
不動産会社は、売買が成立すると仲介手数料を受け取ります。さらに、売主側と買主側の両方を自社で担当できれば、双方から手数料を得られる場合があります。
そのため一部では、他社から購入希望者の問い合わせがあっても、
「すでに話が入っています」
「今は紹介できません」
「売主都合で止まっています」
などと伝え、他社の紹介を受けにくくする行為が問題視されてきました。
売主から見ると、販売活動は進んでいるように見えます。
しかし実際には、物件情報が十分に広がっていないことがあります。
この状態では、購入希望者同士の競争が起きにくくなります。
結果として、本来もっと高く買う人がいたかもしれないのに、低い価格で売却してしまう可能性があるのです。
囲い込みとは「売れない」のではなく「広く売られていない」状態
囲い込みをわかりやすく言うと、「売主の物件を市場全体に出さず、自社の都合で抱え込むこと」です。
不動産会社は、売却依頼を受けると「レインズ」という不動産会社間の情報共有システムに物件を登録します。専属専任媒介契約では5日以内、専任媒介契約では7日以内に登録する義務があります。
本来であれば、レインズに登録されることで、他の不動産会社もその物件を確認し、自社の買主に紹介できます。
つまり、売主にとっては販売窓口が広がる仕組みです。
ところが、問題は「登録されているか」だけではありません。
大切なのは、
- 本当に他社が紹介できる状態か
- 取引状況が正しく登録されているか
- 問い合わせを断っていないか
です。
国土交通省も、事実と異なる取引状況を登録して他社からの紹介を拒む行為は、囲い込みにつながるものとして注意を促しています。
特に売主が確認したいのは、レインズ上の取引状況です。
現在、売主専用画面では主に、
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
といった状態を確認できます。
もし売主に覚えがないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっている場合は、すぐに不動産会社へ確認すべきです。
買取業者への安値売却に誘導されるリスク
囲い込みで最も注意したいのが、買取業者への安値売却です。
買取業者は、物件を安く仕入れ、リフォームや再販売によって利益を出します。そのため、一般の購入希望者に売る場合と比べて、売却価格は低くなる傾向があります。
もちろん、買取そのものが悪いわけではありません。
例えば、
- 早く現金化したい
- 室内状態が悪い
- 相続や離婚で早期に整理したい
- 近隣に知られず売却したい
といった場合には、買取は有効な選択肢です。
問題は、一般市場で売れる可能性を十分に試さないまま、「反響がありません」「この価格では難しいです」と説明され、安い買取に誘導されるケースです。
本当は買主がいなかったのではなく、買主に情報が届いていなかっただけかもしれません。
売主にとって重要なのは、買取を選ぶ前に、
「一般売却でどこまで販売活動をしたのか」
「他社からの問い合わせは何件あったのか」
「レインズの取引状況は正しく公開されていたのか」
を確認することです。
売主が自分でできるチェック方法
囲い込みを完全に見抜くことは簡単ではありません。
しかし、売主自身ができる確認はあります。
まず、専任媒介・専属専任媒介で契約した場合は、必ず「レインズ登録証明書」を受け取りましょう。
登録証明書には、売主専用画面にアクセスするための情報が記載されています。2025年1月以降は、二次元コードから確認しやすくなっています。
確認すべきポイントは次の3つです。
1つ目は、レインズに登録されているか。
2つ目は、取引状況が「公開中」になっているか。
3つ目は、覚えのない「売主都合で一時紹介停止中」などになっていないか。
さらに、担当者には次のように質問してみましょう。
「他社からの問い合わせは何件ありますか」
「内覧希望はどの経路から来ていますか」
「レインズ上の取引状況は今どうなっていますか」
「買取提案の前に、一般売却ではどのような販売活動をしましたか」
誠実な会社であれば、具体的な数字や販売状況を説明してくれるはずです。
逆に、「大丈夫です」「任せてください」だけで具体的な説明がない場合は、注意が必要です。
会社選びで見るべきは「規模」ではなく「透明性」
大手だから悪い、小さな会社だから良い、という話ではありません。
大手にも誠実な会社はあります。地域密着型でも不誠実な会社はあります。
大切なのは、会社の規模ではなく、売主に対してどれだけ透明に情報を開示してくれるかです。
信頼できる不動産会社には、次のような特徴があります。
- 査定価格の根拠を具体的に説明する
- 高すぎる査定で契約を急がせない
- レインズ登録証明書をきちんと渡す
- 販売活動の内容を定期的に報告する
- 他社からの問い合わせ状況も説明する
- 買取と仲介のメリット・デメリットを分けて説明する
不動産売却では、「どこに頼むか」以上に、「どう売ってくれるか」が重要です。
査定額の高さだけで選ぶのではなく、販売戦略、情報公開、報告体制まで確認することが、損を防ぐ第一歩になります。
まとめ
「大手に頼めば安心」という考え方は、半分正しく、半分危うい考え方です。
知名度や広告力は安心材料になります。
しかし、それだけで高く売れるとは限りません。
不動産売却で本当に怖いのは、売主が知らないところで情報の流れが止まり、「売れない物件」と思い込まされてしまうことです。
囲い込みが起きると、
- 他社の買主に紹介されない
- 購入希望者が十分に集まらない
- 価格競争が起きない
- 買取業者へ安く売る流れになりやすい
というリスクがあります。
だからこそ、売主自身も最低限の確認をすることが大切です。
・レインズ登録証明書を受け取る。
・売主専用画面で取引状況を確認する。
・「公開中」かどうかを見る。
・覚えのない紹介停止があれば確認する。
この小さな行動が、数百万円単位の損を防ぐことにつながるかもしれません。
不動産会社を選ぶ基準は、「有名かどうか」ではありません。
売主の利益を守るために、正直に、広く、透明に売ってくれる会社かどうかです。
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