2026.5.11
【番外編】京都市の空き家税とは?
課税対象・税額・対策を不動産会社がわかりやすく解説【2030年度課税開始予定】

京都市に実家・別荘・セカンドハウスを所有しているものの、「普段は誰も住んでいない」という方は、今後新たな税負担が発生する可能性があります。京都市で導入予定の通称「空き家税」は、正式には「非居住住宅利活用促進税」といい、令和12年度(2030年度)から課税開始が予定されています。
この記事では、どのような住宅が対象になるのか、税額はどう計算されるのか、今からできる対策は何かを、不動産会社の視点でわかりやすく解説します。
京都市の空き家税とは?正式名称は「非居住住宅利活用促進税」
京都市の空き家税は、正式には「非居住住宅利活用促進税」と呼ばれる制度です。対象となるのは、空き家・別荘・セカンドハウスなど、居住者のいない住宅です。
京都市は、こうした非居住住宅が増えることで、住宅を必要とする人への供給が妨げられ、防災・防犯・生活環境・地域コミュニティにも影響が出ると説明しています。
つまり、この税は単に「空き家に罰金をかける制度」ではありません。使われていない住宅の売却・賃貸・活用を促し、京都市内に住みたい人へ住宅を流通させるための政策的な税制度です。
なお、課税開始は令和12年度、つまり2030年度予定です。京都市は当初予定からシステム開発の影響で1年延期したと公表しています。
課税対象になる住宅とは?判断基準は「生活の本拠」があるか
課税対象となるのは、京都市の市街化区域内にある「非居住住宅」の所有者です。非居住住宅とは、その所在地に住所を有する人がいない住宅を指します。
ここで重要なのは、「住民票があるかどうか」だけで判断されるわけではない点です。京都市は、実際に生活の本拠として利用している人がいれば、住民票がなくても課税対象にならない一方、住民票があっても生活実態がなければ課税対象になり得るとしています。
たとえば、次のような住宅は注意が必要です。
・京都市内に相続したまま使っていない実家
・年に数回だけ利用する別荘やセカンドハウス
・荷物置き場になっているマンション
・将来使うつもりで空けたままの住宅
一方、事業用として使っている住宅、賃貸や売却を予定している住宅については、一定条件のもとで課税免除の対象になります。賃借人や買主の募集開始から1年以内の住宅も、所有者の申告により免除対象となる場合があります。
税額はいくら?家屋価値割と立地床面積割で計算される
京都市の空き家税は、固定資産税とは別に課される税です。税額は大きく分けて、次の2つで構成されます。
1つ目は「家屋価値割」です。これは非居住住宅の家屋の固定資産評価額に対して、0.7%の税率をかけるものです。
2つ目は「立地床面積割」です。これは土地の1㎡当たり固定資産評価額に、住宅の延べ床面積をかけた金額を基準に計算されます。税率は家屋価値割の課税標準額に応じて、0.15%、0.3%、0.6%の3段階です。
また、家屋の固定資産評価額が20万円未満の住宅は免税点により課税対象外です。ただし、導入当初5年間は100万円未満が免税点とされています。
税額は物件ごとに異なるため、「年間いくら」と一律には言えません。特に京都市中心部や土地評価の高いエリアにある住宅は、負担が大きくなる可能性があります。
大切なのは、空き家税だけを見るのではなく、固定資産税、都市計画税、管理費、修繕費、火災保険料、防犯・庭木管理などを含めた「保有コスト全体」で考えることです。
相続した空き家はどうなる?3年間の徴収猶予もある
相続で京都市内の空き家を取得した方にとって、いきなり課税されるのかは大きな不安でしょう。
京都市の制度では、非居住住宅の所有者が死亡した場合や、居住者が死亡して非居住住宅になった場合、申告により、その事実が発生した日から3年間に限り徴収が猶予されます。さらに、猶予期間中に住宅が活用された場合は、猶予された税額の支払いが免除されます。
これは、相続直後にすぐ売却や賃貸の判断ができない現実に配慮した制度といえます。
ただし、「3年間あるから放置してよい」という意味ではありません。相続不動産は、時間が経つほど権利関係が複雑になったり、建物が老朽化したり、売却前の片付けや修繕に費用がかかったりします。
特に京都市内の古い家屋では、接道、再建築、越境、未登記部分、耐震性などが問題になることもあります。早めに現状を確認しておくことが、将来の選択肢を守ることにつながります。
空き家税への対策|売却・賃貸・活用を早めに検討する
空き家税への対策として、まず考えたいのは「その不動産を今後どう使うのか」を明確にすることです。
代表的な選択肢は3つあります。
1つ目は売却です。今後使う予定がなく、管理負担も重い場合は、早めに売却することで固定資産税や管理費、将来の空き家税負担を抑えられます。京都市内はエリアによって需要が異なるため、古い家でも立地や土地条件によって評価される可能性があります。
2つ目は賃貸活用です。居住用として貸し出すことで、非居住住宅ではなくなる可能性があります。ただし、リフォーム費、賃料相場、空室リスク、管理体制を事前に確認する必要があります。
3つ目は事業利用や売却・賃貸募集による課税免除の検討です。京都市は、事業の用に供しているものや、賃貸・売却予定で一定条件を満たすものについて、申告により課税免除の対象としています。
重要なのは、「何もしない」という選択が、今後ますますコストの高い選択になり得ることです。空き家税は2030年度開始予定ですが、不動産の整理・売却・活用には時間がかかります。今のうちに査定や活用相談を行い、判断材料をそろえておくことが大切です。
まとめ
京都市の空き家税、正式名称「非居住住宅利活用促進税」は、令和12年度(2030年度)から課税開始が予定されている制度です。対象は、京都市の市街化区域内にある居住者のいない住宅で、住民票の有無だけでなく、実際に生活の本拠として使われているかが判断のポイントになります。
税額は、家屋の固定資産評価額に基づく「家屋価値割」と、土地評価・床面積に基づく「立地床面積割」で計算されます。相続により発生した空き家には3年間の徴収猶予制度もありますが、放置すれば建物の老朽化や管理負担は進みます。
「自分の家は対象になるのか」「売るべきか、貸すべきか、残すべきか」と迷った時点で、早めに不動産会社へ相談することが重要です。空き家税は、単なる税金の問題ではなく、京都市内の不動産を“持ち続ける意味”を見直すきっかけになる制度といえるでしょう。
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